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吉田浩章
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コラムコラム118 「遺贈」の登記と「相続」の登記の違い(不動産登記)「遺贈」による名義変更の登記は、遺言書に基づく手続きの中でも、特に、法定相続人ではない人に対し、不動産の名義を変える場合に使われる手続きです。
遺言書による登記の中では、相続人の一部、もしくは全員に対して「相続させる」登記が圧倒的に多いのが実情ですが、手続き上、「遺贈」による名義変更が、「相続」による名義変更の場合と異なるのは、下記のような点です。 ======================== ○登記の申請人について 「相続」の場合は、名義を受ける相続人だけが申請人になるのに対し、「遺贈」の場合は、財産を譲り受ける人と、遺言執行者(もしくは相続人全員)が共同しての申請になります。遺言執行者(もしくは相続人全員)については、印鑑証明書の用意と実印による押印が必要です。 ○権利証(登記識別情報通知)の要否 「相続」の場合は権利証(登記識別情報通知)が不要であるのに対し、「遺贈」の場合は必要になります。 権利証(登記識別情報通知)が紛失等によって提出できない場合は、遺言執行者(もしくは相続人全員からの申請による場合は相続人全員)の住所地に、事前通知(法務局からの確認の郵便物)が送られることになります。 ○住所変更登記の要否 「相続」の場合は、亡くなられた人の登記簿上の住所と最終住所が一致していなくても、住所の変更登記が不要ですが、「遺贈」の場合は必要になります。 「遺贈」の前提として住所変更登記を入れる場合、遺言執行者、遺贈者の相続人(1名からで可)、もしくは受遺者(財産を譲り受ける人)が代位して申請します。代位による登記の場合、代位原因は「年月日遺贈による所有権移転登記請求権」とします。 ○登録免許税について 「相続」の場合の登録免許税は、固定資産評価額に対して0.4%であるのに対し、「遺贈」の場合は2%となり、相続の場合に比べて5倍になります。 例えば、固定資産評価額が1,000万円の場合、「相続」による登記であれば4万円、「遺贈」による登記であれば20万円です。 ========================= 当事務所での実際の取扱い事例の中では、遺贈者(亡くなられた方)の相続人全員が関与して遺贈の登記をする事例はなく、全て遺言執行者からの申請であること。権利証が添付できない場合が多いことが特徴としてあります。 権利証がないのは、元々紛失されていた場合の他、遺言執行者に引き継ぐ機会がなかったことが原因として考えられます。 また、遺言書を作成する時には、「遺言執行者」を定めておくことと、相続による場合と遺贈による場合の登録免許税が違いますので、「相続」による名義変更が可能な関係であれば、「遺贈する」ではなく「相続させる」という表現を用いるようにしています。 (最終更新 平成29年4月20日) 堺市の司法書士吉田法務事務所 司法書士 吉田浩章 このコラムは、ご参考までに情報を提供しているものです。
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