成年後見(任意後見Q&A) ご相談は堺市堺区の司法書士吉田法務事務所へ

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成年後見(任意後見)Q&A

成年後見制度の中には、家庭裁判所で後見人等が選任される「法定後見」と、ご本人自らが判断能力のあるうちに契約しておく「任意後見」があります。

ここでは、後者の「任意後見」に的を絞って、実務上ポイントとなる点や、「よくある質問」「よくある相談」」をまとめています。
  
任意後見契約の特徴
クエスチョン  任意後見の特徴はどのような点ですか。
アンサー

判断能力が低下した後に家庭裁判所で選任される「法定後見」と違って、ご本人自らの判断能力がしっかりされている時に、将来、判断能力が不十分になった際、(任意後見受任者)に、どのようなこと(財産管理や介護に関する事項等)をお願いしたいのか、予め契約で定めておけることです。

クエスチョン 任意後見契約で委任できるのはどのような内容ですか。
アンサー 任意後見人に代理権を与えられるのは、預貯金の管理・不動産の処分・施設への入所契約・介護や医療に関する契約等の法律行為です。
買い物・食事の世話・入浴等の介助といった事実行為のみを任意後見契約の内容とすることはできませんが、別途委任契約を締結することは可能です。また、医療行為に関する同意・身元保証・葬儀等の死後の事務についても、任意後見契約の中では委任することができません。
クエスチョン 任意後見契約はどのような方法でするのですか。
アンサー 公証役場において、公証人が作成する公正証書で契約する必要があります。
その後、公証人から東京法務局に登記の手続きがされ、任意後見の登記がなされます。
任意後見の契約内容は、公正証書に加えて、東京法務局が発行する「登記事項証明書」により、確認することができます。
クエスチョン 任意後見の契約後、身体が不自由になった場合にも使えますか。
アンサー 任意後見は、ご本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された時に効力が生じます。
但し、身体が不自由でも、判断能力がしっかりされていれば任意後見の効力は発生しません。
したがいまして、身体のみが不自由になった場合を想定するのであれば、任意後見契約とは別に、財産管理等を委任する任意代理契約(民法上の委任契約)を締結しておく方法があります。
任意代理契約で委任する代理権の範囲は、任意後見契約と同一にすることもできますし、異なる内容にすることもできます。

任意後見契約の種類
クエスチョン 任意後見には、どのようなタイプがありますか。
アンサー
・将来型: 現時点では任意後見契約だけを締結し、将来、判断能力が低下した時に、任意後見人のサポートを受けるタイプです。任意後見の効力が発生するまで、ご本人と任意後見受任者が接触する機会がなくなり、ご本人の状況を把握できなくなる可能性があります。

特に、専門職が後見人候補者になる場合は、見守り契約も並行して締結しておくことを検討します。
・移行型: 任意後見契約と共に、財産管理等の委任契約を締結し、任意後見の効力が生じるまでの期間もサポートを受けるタイプです。
継続的な面談等を通じ、任意後見受任者がご本人の状況を把握しやすくなる、というメリットがあります。
・即効型: 任意後見契約と同時に、任意後見の効力を生じさせ、任意後見人のサポートを受けるタイプです。すでに判断能力が低下しているものの、契約を締結する能力はあることが前提となります。
後日、ご本人の判断能力をめぐって、問題が生じる恐れがあります。

見守り契約
クエスチョン  「見守り契約」というのはどのような契約ですか。
アンサー 将来型の任意後見契約の場合、本人と任意後見受任者の関係によっては、本人の判断能力が低下し、任意後見の効力が発生するまで、本人と任意後見受任者が面会する機会が持たれない可能性があります。

その場合、ご本人の生活状況、考え方の変化を把握できない恐れがありますので、任意後見の効力が発生するまでの間も、定期的に面会したり、生活に関する相談に乗ること等を、予め契約で定めておくものです。

見守り契約は、任意後見契約と同じ公正証書に記載することもできますし、別途、公正証書によらずに契約書を作成することもできます。

※当事務所の司法書士が、見守り契約の受任者となる場合は、公正証書で契約しています。

死後事務委任契約
クエスチョン 「死後事務の委任契約」とはどのような契約ですか。
アンサー ご本人の死亡により、任意後見人の代理権は消滅します。

そこで、任意後見契約を締結する際、ご本人が亡くなられた後の葬儀・埋葬・供養等に関する事項を、別途「ご本人の死亡によっても終了させない」特約を付けた契約で委任しておくものです。

死後事務委任契約は、任意後見契約と同じ公正証書に記載(別契約として)することもできますし、別途、公正証書によらずに契約書を作成することもできます。

※当事務所の司法書士が、死後事務委任契約の受任者となる場合は、公正証書で契約しています。

ライフプラン
クエスチョン ライフプランとは何ですか。
アンサー 任意後見人に委任する事務は、契約書に記載することになりますが、契約書には書き込めないご本人の要望、嗜好等を書き出しておくものです。

例えば、「早いうちに施設に入りたいか自宅で過ごしたい」か、「病院の選び方」や「治療方法、入院時や死亡時に連絡して欲しい人」「葬儀や埋葬に関すること」などが考えられます。
ライフプランがあれば、任意後見人は、ご本人の意思を記されたライフプランを尊重しながら、後見事務を行うことができます。

任意後見人と任意後見監督人
クエスチョン 任意後見人になれるのはどのような人ですか。
アンサー 任意後見人になるために、特別な資格は必要ありません。
司法書士、行政書士、社会福祉士等の国家資格者に限らず、家族、親戚や、法人を任意後見受任者にすることもできます。また、複数の人を選任することもできます。

なお、任意後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹は任意後見監督人にはなれません。
クエスチョン 任意後見監督人というのは、どのような人ですか。
アンサー 任意後見人を監督する立場の人です。
任意後見制度では、将来、ご本人の判断能力が不十分になり、「家庭裁判所で任意後見監督人が選任されること」で、任意後見契約の効力が生じることになります。

任意後見監督人は任意後見人が行う事務を監督し、家庭裁判所に対し、定期的に報告します。
したがいまして、任意後見が効力を生じでいる段階では、必ず任意後見監督人が選任されていることになります。  
クエスチョン 任意後見監督人の選任申立をできるのは誰ですか。
アンサー 本人、配偶者、四親等内、任意後見受任者です。

本人が申立人にならない場合も、意思表示をできない場合を除き、「本人の同意」が必要とされています。申立のタイミングの見極めについては、難しいケースもあると言われています。
クエスチョン 任意後見と法定後見はどちらが優先されますか。
アンサー 任意後見契約の登記がなされている場合、家庭裁判所は「本人の利益のために特に必要があると認めるとき」に限り、法定後見開始の審判をすることができるとされていますので、原則、任意後見が優先します。

但し、家庭裁判所が「本人の利益のために特に必要があると認めるとき」(当初契約していた任意後見契約では、本人の保護に欠ける場合等)と判断し、後見開始の審判をした場合、任意後見監督人が選任された後であれば、任意後見契約は終了します。
一方、任意後見監督人が選任される前であれば、法定後見開始の審判があっても、任意後見契約は存続します。

なお、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する場合において、本人が後見、保佐、補助の審判を受けている場合、法定後見による保護を継続することが本人の利益のために特に必要であると認められるときを除き、任意後見監督人を選任して、法定後見開始の審判を取り消します。

任意後見契約の費用、報酬
クエスチョン 任意後見契約をする際、費用はいくらくらいかかりますか。
アンサー 任意後見契約について、公証役場でお支払いする費用として、2〜2.5万円程度の金額が必要です(公証人に出張してもらう場合は日当も含めて加算あり)。
   1.公証人の手数料     11,000円の定額
   2.法務局に納める手数料  1,400円
   3.法務局に納める印紙代  2,600円
   4.その他、郵送料・謄本代等
任意代理(財産管理等委任)契約や、死後事務委任契約も同時にする場合は、別途、11,000円ずつ(いずれも報酬の額によっては加算の場合あり)と謄本代が加算になります。
また、司法書士、行政書士等の専門家に作成に関する事務手続きを依頼する場合は、専門家への報酬が必要となります。
クエスチョン 任意後見人の報酬は、どのように決まりますか。
アンサー 任意後見契約をする公正証書の中で、ご本人と任意後見受任者が、予め契約の中でで定めることになります。任意後見契約が開始されるまでの財産管理契約、見守り契約に伴う報酬も同様に、契約によります。

何も定めがなければ「無報酬」になりますが、司法書士等の専門職が任意後見人になる場合の報酬額は、委任する事務の内容や、財産の内容や金額によっても異なってきます。
一方、家庭裁判所で選任される法定後見人や、任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定します。 

任意後見契約の終了
クエスチョン 一旦契約した任意後見契約を解除したいのですが。
アンサー 任意後見契約法では、任意後見契約が効力を生じる前(任意後見監督人が選任される前)においては、ご本人又は任意後見受任者は、「いつでも公証人の認証を受けた書面によって」契約を解除することができる、とされています。

一方、任意後見契約が生じた後は、「正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て」契約を解除することができる、とされています。
いずれも、東京法務局で、終了の登記を申請する必要があります。

★成年後見(任意後見)については、当司法書士事務所に別途専門サイトがあります。
  引き続き「成年後見と財産管理相談サイト」をご覧ください。

相談費用はこちらをご覧下さい。(当事務所の場合)

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