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コラム

コラム35 相続放棄の期限は「死亡の日から3か月」と限らない(相続放棄)

「相続開始を知ってから3か月」


相続放棄の期限は、「自己のために相続開始を知ってから3か月」とされています。

亡くなられてから=相続が始まってから3か月、ではありません。

◎民法915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない。
ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる 


「自己のために相続開始を知る」とは


「自己のために相続の開始があったことを知った」とは、被相続人が死亡の事実と、自分が法律上の相続人になったことを知った時、とされています。ここから3か月の期間は、熟慮期間と言われています。

また、「相続人が死亡の事実と、自分が相続人になった事実を知った場合であっても、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、生活状況、交際状況その他の状況からみて、相続人が相続財産の調査を期待することが著しく困難な事情があり、相続人が財産がないと信じるについて、相当な理由があれば、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時、または、通常これを認識しうるべき時から起算すべき」とされています(最高裁昭和59年4月27日判決)。

家庭裁判所は、形式的な審査しか行っていないのが実情です。
「知った時」の解釈については、わりと緩く認めているのが実情だと思われます。

その分、後日の訴訟において、相続放棄の効果について争われる余地を残すことになります。


死亡後3か月経過後の相続放棄 


実務上、死亡から3か月経過後の相続放棄は、珍しいことではありません。

「別居の親族について、数か月経過してから、カード会社からの督促状が届いた」「銀行から保証債務の請求があった」といった例や、極端な話、「存在も知らなかった人が所有していた不動産について、何年も経ってから、役所の固定資産税課から通知が届いた」という例もあります。

また、最近では、長期間相続登記をしていない土地について、国が相続人を調査しています。

「長期相続登記等未了土地解消作業対象の土地がある」ということで、法務局が通知が届いたタイミングで、不動産を所有していたことを知った、という例もあります。

「相続開始を知った」きっかけとなる書類も添付し、家庭裁判所に相続放棄の申立てをすれば、裁判所も事情を確認しやすいでしょう。


次順位相続人の相続放棄 


第2順位以降の相続人については、先順位の相続人が、相続放棄をしたことを知った時から、3か月の期間をカウントします。

「3か月」という期間の認識が強いため、全ての順位の相続人の放棄を、3か月以内に済まさないといけない、と考えられることもありますが、これはよくある誤解です。

また、家庭裁判所に申述書を提出することで、「3か月」の期間のカウントは停止します。

裁判所での審査の期間も必要ですので、「3か月以内に相続放棄の受理通知書が届かないといけない」ということでもありません。


未成年者や成年被後見人の場合の相続放棄 


未成年者や成年被後見人の相続放棄は、法定代理人が行うことになりますので、法定代理人が未成年者や成年被後見人のために、相続開始を知った時から、3か月の期間をカウントします(民法917条)。

法定代理人がいない場合は、新たに選任された法定代理人が、未成年者等のために相続開始を知った時からのカウントです。

保佐人の場合は、本人が相続の承認又は放棄をできるため、保佐人ではなく、本人が知った時が起算されることになります。

「相続における承認・放棄の実務(新日本法規出版)」の39ページに、「反対説として、『新版注釈民法(27)』443頁[谷口知平](有斐閣、平元)がある」と書かれていました。

新版注釈民法(27)の2013発売分を見てみましたが、「本条は、相続人が未成年者または成年後見人であるときに適用され、保佐人には適用されない」(479頁)とありました。


再転相続人の相続放棄 


甲から乙への相続が発生した後、乙が相続の承認、放棄を行わずに亡くなった場合、再転相続人である丙が、甲の相続について開始を知った時は、「丙が乙の相続により、乙が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時」とされています(最高裁令和元年8月9日判例)。

理由として、下記のとおり説明されています。
再転相続人である丙は,自己のために乙からの相続が開始したことを知ったからといって,当然に乙が甲の相続人であったことを知り得るわけではない。

また,丙は,乙からの相続により,甲からの相続について承認又は放棄を選択し得る乙の地位を承継してはいるものの,丙自身において,乙が甲の相続人であったことを知らなければ,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできない。

丙が,乙から甲の相続人としての地位を承継したことを知らないにもかかわらず,丙のために乙からの相続が開始したことを知ったことをもって,甲からの相続に係る熟慮期間が起算されるとすることは,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障する民法916条の趣旨に反する。   

(最高裁令和元年8月9日判決から引用) 

乙の相続が開始したことを知っても、甲の相続人としての地位を乙が承継した事実を知らなければ、甲の相続については「3か月」のカウントはスタートしない、ということになります。


★司法書士吉田事務所からのご案内


相続放棄の申し立ては、相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出することにより行います。

相続放棄の申述書の内容自体は難しくないため、ご自分で申立てされる方も多いと思われますが、「相続開始を知った日」の意味を勘違いされたり、相続人の範囲を間違って解釈されてしまったり、家庭裁判所で問題視されてから、ご相談を受けることもあります。

堺市の司法書士吉田事務所では、相続放棄の申立書類作成(相続放棄の申立に必要な戸籍謄本の収集も含みます)を通じて、相続放棄の手続きをお手伝いをしています。

相続放棄の申し立て、相続放棄の申述書作成は、堺市堺区、三国ヶ丘徒歩4分の、司法書士吉田事務所にご相談下さい。

                                                (最終更新 令和5年12月3日)

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